5月2日
国内市場、荷余り感台頭し値下がり基調に
 国内鉄スクラップ市場は、 4月末に至って、 電炉筋がゴールデンウィーク対策玉の手当てのほぼ目途がついたことなどから、 値下げ局面に転じた。 東京製鉄が4月26日から購入価格を1dあたり1,000円値下げすると、 荷動きが活発化。 さらに、 上伸局面で出荷を控えていた筋が出荷に動きだしたことで、 市中業者や電炉筋の入荷が好転、 荷余り感も台頭した。 このため東京製鉄など製鋼各社は28日から2回目の1,000円値下げを実施し、 下げ足を速めた。
 この間の国際相場はトルコの引き合いが消極化したことなどからジリ下げの展開だった。 東アジア向けの米1ヘビーの輸出価格は1LdあたりCFR475〜477jと1カ月で約10j値下がりした。 日本国内市場はGW対策という国内要因があっての上伸基調だったため、 この要因が解消したことから、 国際相場に見合う水準に向けて下落が始まったと見られる。
■東京製鉄、 28日から1,000円値下げ
 東京製鉄は4月28日、 全工場の鉄スクラップ購入価格を1,000円値下げした。 岡山工場の特級価格を4万円 (海陸)、 九州工場を4万円 (同)、 高松工場を3万8000円 (同)、 宇都宮工場を3万9000円、 田原工場を4万円 (同) とした。

4月28日
鉄スクラップ、 GW明け後には慎重な見方が多い
輸出契約はあっても用船難、 国内環流増の可能性も
 GW操業用の在庫補充手当を前に激しく動いた鉄スクラップ相場も、 東京製鉄の26日改訂を合図に、 関東・関西電炉メーカーの一部でも値下げに転じた。
 東京製鉄は震災当日の3月11日から4月7日まで4回計5,000円下げた後、 8日から20日まで4回計5,000円上げ戻した。 震災後に関東・西日本などで穴埋めや振替え生産増で 「ローカル需給」 がひっ迫し、 関東湾岸を含め 「流通可能エリア」 は引き締まった。
 この間に東京製鉄には震災前に契約した米国玉 (3.2万d) が18日前後に岡山に入着 (未確認ながらさらに数隻の輸入情報がある)。 関東、 西日本の電炉筋もGW用に一般購入価格を上回る特別価格契約を組み、 在庫補充のメドがついた。 そのタイミングで関西鉄源連合会の共同輸出・入札でH2・FAS37,630円 (25日) で成約。 トルコなど国際相場 (HMS/CFR440j台=1j83円、 36,520円) に比べ割高感が浮上したためだ。
 GW明け後には慎重論が多い。 今回の上げは電気料金が安いGW中の 「期間限定」。 生産増と言っても店売り鋼材問屋の在庫補充手当が大半と見られ、 実需はまだ動いていない。 海外はトルコ安など弱い。 海上保険では放射能リスクは補填されない。 輸出契約はあっても用船難が懸念され、 国内環流増加の予想もある。

4月27日
東京製鉄、 購入価格1,000円値下げ 上伸基調GW前に終焉
 東京製鉄は26日、 鉄スクラップ購入価格を1dあたり1,000円値下げした。 値下げ改定は3月31日以来約1カ月ぶり。 同社の値下げを受けて、 他の電炉筋の値下げ改定が広がっている。 このため国内相場の上伸局面はゴールデンウィークを前に終焉した。
 ウラ値やスポット価格を加算して同社に先行して引き合いを強めた電炉筋が、 GW対策玉の手当てに目途がついたことで、 同社向けの入荷が好転する見通しとなったため、 購入価格の値下げに動いた。 当初市場では、 GW明け後の値下がりが予想されたが、 海外市場が軟調模様で推移していることや鋼材市況が伸び悩んでいることから、 国内独歩高の是正を狙い、 同社は早めに高騰する鉄スクラップ相場の沈静化を図ったものを見られる。
 東京製鉄の各工場の特級購入価格は以下の通り。 岡山工場4万1000円 (海陸とも)。 九州工場4万1000円 (同)。 ◇高松工場3万9000円 (同)。 宇都宮工場4万円。 田原工場4万1000円 (同)。

4月26日
関西鉄源連合会 4月共同輸出H2・FAS37,630円
 関西鉄源連合会 (黒川友二代表幹事) は25日、 第24回共同輸出入札を行いH2・FAS37,600円で5,000dが決まった。 落札商社は(株)アラエ商会で積期は5月19日から6月18日まで。 価格を提示して応札した商社は10社。 2番札は37,550円で12日に関東鉄源協組の成約価格 (平均36,565円) を上回った。
 関東湾岸の足元の浜値(H2・FAS)は40,000〜40,500円で、 韓国筋の買い指し値 (H2・FOB) は4月中旬の37,500円を最後に新規商談は見送り状態と伝えられる。円高(1j83円)は一服したとはいえドル換算では足元FASは482〜488j。 国際相場はトルコ筋でHMS/CFRで420〜440j、 中国が手当した米国玉が同480j前後だから、 日本玉は明らかに割高。 さらに日本玉は、 GWを前にした西日本電炉筋の在庫手当から明らかに過熱気味。 このため韓国筋は上記の通り新規商談を控え、 模様眺め気配に徹している。
 その中での輸出・入札だけに注目された。 アジア方面の国際相場はHMS/CFR480j。フレート30j、FOBチャージ10jとしてFAS換算440j、 36,520円相当。
 関西地区で共同輸出する理由の一つが、 マーケット全体の方向感を実物を投入してモニターする、 との位置付けであれば、 ほぼ妥当な相場感が検出できた。 

4月25日
東日本、 電炉筋のGW手当てにメド上伸相場に天井感
 東日本の鉄スクラップ相場は、 20日以降に1,000〜2,000円どころの上伸し、 関東や関西ではH2炉前価格が4万円台に乗せ、 今年に入っての最高値圏に達した。
 電炉筋はゴールデンウィーク対策の鉄スクラップ手当てを主因に急伸した4月相場だが、 電炉筋は月末までの手当ての目途がほぼついた模様で、 上伸相場に天井感が出つつある。 このため市中業者も出荷に注力しており、 荷動きは好転する動きだ。
 北海道電炉は20日以降、 1dあたり1,000円値上げを実施して、 国内相場の値動きに対応。 東北は、 東京鉄鋼八戸が20日から1,000円値上げした。 関東電炉は1,000〜2,000円値上げ対応のほか、 ウラ値やスポット価格対応、 さらに一部でゴールデンウィーク期間中の 「特契」 を結んだ模様。 新潟電炉は20日から2,000円の値上げ改定を実施した。
 各地区の鉄スクラップ市況は以下の通り。 ◇北海道地区のH2 炉前実勢価格は、 1 dあたり3万3500〜8500円中心、 高値3万9000〜4万円見当。 ◇新潟は3万2000〜3万7000円中心、 高値3万8000円見当。 ◇関東は4万〜4万1000円中心、 高値4万2000円見当。 湾岸浜値はH2が3万9500円〜4万500中心、 HSが4万2000〜3000円中心、 新断が4万3000〜4000円中心。 

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